心の理論について

お久しぶりのブログです(笑)

どんだけ書くの怠ってたんじゃい、という感じです。

 

今回は、心の理論「誤信念課題」について書いていこうと思います。

 

先日の私のツイートですが

 これについて「うまく説明できない」部分を解説していきます。

 

 

目次 

 

 

 

サリーとアンの課題

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答えは『カゴ』ですが、ASDは『箱』と答えてしまいます。

この課題のことは「1次の誤信念課題」と呼ばれています。詳しくは後述しますが、この心の理論を指して、映画や小説、漫画を楽しめないんじゃないかと言われると思いました。

しかし、物語というのは第3者目線から見てわかりやすいように作られています。つまり、サリーとアンの課題もこんな感じになるわけです。

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このように描くと答えは『カゴ』とわかります。また、心の理論がわからなくてもストーリーを楽しめると思います。

 

 

誤信念課題

さて、「サリーとアンの課題」ですが、「ボールは本当にどこにありますか?」という質問や「ボールは、最初どこにありましたか?」という質問にはASDの子供全員が正解したということです。つまり、「自分はボールがどこにあるかわかっているが、サリーはボールがどこにあるかわかっていない」という、他人が自分と異なった考えを持っているという事実を、ASDの子供が理解していない可能性があります。

最近見かけたツイートで「自分はいいけど、他人はダメ」という考えになる理由がわからないというのを見かけました。この心の理論の弱さが関係しているのではないかと思います。

なお、ある程度年齢が高くなると「サリーとアンの課題」も解けるようになります。課題を通過できる言語性精神年齢が定型発達よりASDのほうが高年齢であることが明らかになっています。このため、ASDは言語性知能で「心の理論」課題を通過している可能性があります。さらに成長すると、より難しい誤信念課題もわかるようになりますが、実はそれは定型発達のように本能的に通過しているのではなく、言語性知能で考えている可能性があります。この場合、本能的にわかっているわけではないので、思考の負荷がかかっていることになります。

 

実は、私は未だによく考えなければ「サリーとアンの課題」を解くことができません。

言語性知能で考えているというなら、どのような思考回路なのか書いてみます。

①サリーは『カゴ』、アンは『箱』を持っている

②サリーは『カゴ』に『ボール』を入れた、アンと『空の箱』がある

③サリーが出かけていなくなる

④アンがボールを移動させる『空のカゴ』『ボール入りの箱』

⑤サリーが戻ってくる『空のカゴ』『ボール入りの箱』

サリーがボールを探すのはどこでしょう?

ボールの流れ:最初はカゴにあったが、箱に移動している

サリーの視点:カゴにボールを入れて、遊びに行っている。アンが箱にボールを移動させたことをサリーは知らない。

アンの視点:ボールをカゴから箱に移動させた。サリーに見られないように行っている。また、移動させたことをサリーに伝えたりしていない。

よって、サリーがボールを探すのはカゴである。

 

このように、方程式で考えていかないと「誤信念課題」を解くことができません。思考にはかなりの負荷がかかります。私が普段人と接するときは、この思考をかなり高速で行い、定型発達が本能的にわかるであろうスピードとほぼ同じ速度で答えを出しています。人と接していると疲れてくる理由はここにあります。

 

 

「心の理論」の弱さを支援する

まず「心の理論」の研究は、あくまで実験段階にすぎません。たとえ実験状況で「心の理論」を理解できたとしても、より複雑な日常の環境で、実験状況と同様に「心の理論」を理解できるとは限りません。このことを知った上で支援をしていくことが必要になってきます。

また、「心の理論」課題を通過したとしても、処理の仕方が定型発達とは異なっている可能性があります。別の認知処理を行っているということは、それだけ処理に精神的な負荷がかかっていることになります。

この負荷に配慮しながら、他者との相互理解の難しさに配慮しつつ「他者の視点取り」や「他者と自己の思考・感情・行動の関連の理解」を支援していくことが必要となります。

(『公認心理師のための「発達障害」講義』下山晴彦監修、桑原斉、田中康雄、稲田尚子、黒田美穂編著[講義]、宮川純編集協力[講義メモ&確認問題]、北大路書房より)

 

支援方法については、すごく難しいことが書いてあると思います。もちろん、参考にした書籍は『公認心理師』のためのものなので、専門分野の支援方法であります。とはいうものの、参考になる部分があるのではないかと思います。

他者との相互理解が難しということ。ASD本人がこれを自覚すること、また周りの人もこれを理解すること。

ASD本人が自覚することができれば、次の一歩が踏み出しやすいのではないかと思います。周りもどうしてできないのか理由がわかれば、人格や性格を疑わなければいけないモヤモヤが少し晴れるのではないかと思います。

 

 

 

最後に……

いかがだったでしょうか?

今回、サリーとアンの課題の絵を頑張って描きました(笑)

最近、4コマを描き始めたので、できるんじゃないかなーと思ったのですが…5コマはなかなか大変でした。

それから、小説、漫画、映画からは「心の理論」は学べないのかなというところですが、これはどちらでもあり、どちらでもないと思います。

確かに、現実で活かせる理論を学ぶのは経験が必要なので難しいと思います。しかし、小説、漫画、映画などのストーリーに触れることによってキャラクターの内面や心の声を知ることができます。沢山の内面の声をインプットすることによって、実際に人と接したときに理論の組み立ての幅が広がっているように思います。

活かしようは自分次第というところでしょうかね。

 

今回はここまで。