【気持ちがわからない、伝えられない】問題について

 気持ちが伝わらない、理解してくれない。アスペルガー症候群と定型発達の間で、この問題が一番厄介なのではないかなと思います。

 というわけで、今日はそのことについて少し書いてみます。

 

目次

 

 

 

『話し合い』ができない!

 気持ちをわかってもらえない!

 アスペルガーは感情がないの!?

 話が堂々巡りになる!

 結局わかってもらえない!    

 うんぬんかんぬん……などなど

 

 このような小競り合い、結構多いのではありませんか?

 ただ、【感情】の問題はちょっと端に寄せるとして、

一番問題になってくるのは【話し合い】ができないことなのではないかと思います。

 

例題1 お互いがお互いを頼らざるを得なかった

 ここで、私の父と母の話を交えさせてください。

 父:アスペルガー症候群

 母:定型発達

 この二人の色々なエピソードを聞いていると、父は母にアスペルガー特有の気持ちや気遣いのない行動をしているようでした。もちろん、そのたびに喧嘩したり、『実家に帰らせていただきます!』なんて騒動もあったそうです。

 とはいうものの、何だかんだいいつつ乗り越えてきてる熟年夫婦です。

 なぜ乗り越えられたのか…それは【話し合い】ができたからです。

 

例題2 常識が通じない地域性という名の怪物

 最初から【話し合い】ができたとは、ちょっと考えられないなと思います。

 父と母がそういうことが出来るようになった過程を推察してみました。

 

 まず、父は全国を転々とする転勤族です。父も母も北海道出身のため、地域や文化の常識は北海道で行われているものでした。

 しかし、引っ越してみてビックリ!新天地は今までの常識が全く通用しない地域です。挨拶、文化、手続き、常識……全てにおいて戸惑うことばかりでした。

 そこで二人は【話し合い】をすることによって乗り越えてきたのではないかと思います。どういう話し合いかというと、この常識は合ってる?間違ってる?、この文化は北海道のもの?こっちのもの?というような具合です。

 

 条件1 お互いが一番文化の近い存在だった

 条件2 対峙する相手が地域性だった

 

 勘のいい人はもしかしたらわかるかもしれませんが…

ここまで書いてきて、【感情】に関しては一切触れていません。つまり、【気持ち】というよりも【話し合い】ができることが一番大切だと思うのです。

 とはいうものの、【話し合い】ができるようになるのも容易なことではないと感じています。

 なので、先になぜ【気持ち】が理解できないのかという部分を考えていきます。

 

見えないものは理解できない

 これが【気持ち】を理解できない理由だと思います。

 【気持ち】ってどんな形してるんでしょうか…桃とか?雨とか?本とか?

 何馬鹿なこと言ってるんだと思われるかもしれませんが、要は具体的に形がないものは想像することすらできないのです。想像はできませんが、認識することは可能だと考えています。

 例えば

 嬉しいってどんな気持ち?

 『夕食のデザートに大好きなガトーショコラが出てきたときの気持ち』

 悲しいってどんな気持ち?

 『お出かけ日和だと思って準備したら、雨が降ってきて外出できなかったときの気持ち』

 形のないものは想像できませんが、この場面に行き当たったら【感じるもの】、それが【気持ち】なんだなと思ってます。

 

 といわけで、決して【感情】を持ち合わせていないわけではないのです。【感情】を理解する機能、伝達する技能が未熟なんでしょうね……。

 

ゼロから想像することができない

 これが2番目に【気持ち】が理解できない理由だと思います。

 定型発達の人は話を聞いている時、【こんな感じ】かなと想像しながら聞いているのではないかと感じます。この、【こんな感じ】は見たことない場所や体験したことがないこと、視覚で認識できない【感情】までも、想像で考えることができるみたいなんです。

 

 では、アスペルガーの想像とはどういうものなのか。これは、写真の切り貼りじゃないかなと思っています。見たことのある画像が頭の中に残っていて、それを切ったり貼ったり、組み合わせたりしながら想像のようなものを行っていると感じます。

 なので、目に焼き付いていない画像は新しく作り出すことが難しいです。また、【感情】のように、写っていないものを作り出すことも難しいです。

 

エピソードが理解できない!話は点と点の繋がり

 話が堂々巡りになってしまう。これは、写真のように、ある場面を切り抜いて記憶してしまうためだと思います。

 以前、母に『記憶ってどんな感じで保存されてるの?』と聞いてみたことがあります。回答としては『エピソードとして残ってるよ』とのことでした。

 エピソードとはどういうものなんでしょうか。これは、考えてみたのですが私には理解できないものだなと思います。なんとなく、小説のように始まりから終わりまで一連の流れがあり、一冊の本にしたときに題名がつく。この題名がエピソードなんだろうなという理解です。

 

例題 点と点の繋がりとは?

 点と点というのが、どういうことかというと

 

 (この前と、その前のお土産についての話だけど)甘いものがいい?それとも辛いものが良かった?(この前は)甘いものがいいって言ってたし、(その前は)辛いものがいいって言ってたけど、やっぱりお土産は甘いものがいいよね。

 

 という話題があったとします。

 この、()で囲われている部分が伝わらないため、話に差が出てきてしまうのだと思います。

 ちなみに…その時は辛いものが食べたい気分だった私は、『辛いものがいいでしょ』と言った挙句、“辛いお土産”を買ってきたことに対して『なんで辛いもの買ってきたの?甘いものが良かった』と言ってました。

 つまり、私が認識していた話題がどういうものだったのかというと

 

 甘いものがいい?それとも辛いものが良かった?甘いものがいいって言ってけど、辛いものがいいって言ってたし、お土産はどっちがいいかしら?

 

 となります。“この前”と“その前”と“お土産”が繋がっていないのです。

 

 なので、相手としては“この前”は甘いものがいいって言ってたから、甘いものがいいか?って聞いたのに、辛いものがいいって答えたのはそっちでしょう!って言いたくなりますよね。(母ちゃん、ごめんなさい笑)

 

 ここでさらに、展開的に問題が発生してきます。

 実はこの話、甘いものがいいよ、という結論が“この前”に決まっています。最後の確認という意味で聞いてきたのに、以前の話が繋がっていないために起きてしまった事件です。

 

『話し合い』をするための解決策

  ここまで長々と書かせてもらいましたが、解決するためには労力と時間が必要になると思います。ただし、負担を減らすための方法はいくつかあるのではないかと考えています。

 

1.地域の発達障害専門の先生に診てもらう

 病院と繋がるということが大切だと思います。アスペルガー症候群である本人だけが受診するのではなく、周りにいる家族も一緒に説明を受けるといいと感じます。もちろん、同伴するのは本人と医者の判断もありますので、一概には言えません。ただ、周りの家族も説明を受けることによって、より【話し合い】がしやすい環境を見つけることができると思います。

 病院を探す手段としては、地域の『発達障害者支援センター』などに問い合わせると教えてもらうことができます。

 

2.紙に書く、手紙にして伝える

 視たものしか理解できないならば、文字という見える形にする。というのも有効な方法だと思います。書く方に労力がかかると思いますが、言葉で話すよりも理解は深まるのではないかと思います。

 

3.絵や図柄を見せながら説明する

 これも有効な手段だと思います。写真のように記憶を保存しているアスペルガー症候群は、画像を見せられるとそれに合わせた記憶の保存ができるような気がします。難しいことを伝えるときも、グラフのようなものを作って説明すれば伝わりやすいのではないかと思います。

 

最後に…

 自分の体験と、様々な見解、意見を織り交ぜながら書いてみました。始めたばかりなので、読みにくかったりしたら申し訳ないですが…誰かの役に立てたらなと思っています。

 発達障害は発達することができる。と、考えていますので。

 日々、経験値を積んで発達していきたいと思っています。

 読んでくれてありがとうございます。では、またの機会に。