コミュニケーションの障害
自閉症に見られる「三つ組」の障害について、解説していきたいと思います。
以前書いたブログにもさらっと書いてあるので、良かったら読んでみてください。
アスペルガーに最も向いてない仕事【営業】・最も向いている仕事【販売】と推察
目次
言語的ソーシャルスキルの欠如
言葉を使ったコミュニケーションのやり取りについて考えていきたいと思います。
会話の場面で必要な言葉のやり取りのことです。高機能自閉症、アスペルガー症候群に至っては、知能が高いことが多いため、豊富な語彙を持っていることがあります。しかし、TPO(時間、場所、場面)に合わせた使い分けができません。また、ニュアンスのような、大まかな範囲で言葉を理解することができません。
これらのことについて掘り下げながら、考えていきたいと思います。
言語的ソーシャルスキルとは
会話という技能のなかには、必ず『言葉』が使われます。
(話し言葉と言ってもいいかもしれません)言葉のやりとりについて、いくつか紹介していきたいと思います。
【B 言語的ソーシャルスキル】
①自分の気持ちを伝える能力ー自分の気持ちを誤解されずに正しく伝えることができる。
②他人の感情を読む能力ー他人の気持ちを、他人の言葉から読み取ることができる。
③仲間言葉の理解ー仲間同士の特別な言葉遣いをうまく行うことができる。
④話題の選択と持続ーいつ、どのような話題を、どのくらい続ければよいかを知っている。
⑤ユーモアの使用ー適切なユーモアを会話にこめることができる。
⑥話し方の切り替えー聞き手の種類によって話し方の切り替えができる。
⑦他人の期待の感知ー相手が何を知り、何を期待しているのかを知っている。
⑧上手な依頼ー相手を傷つけないように依頼ができる。
⑨誤解の解消ー言葉による誤解を解くことができる。
⑩感情調和ー相手の気分をよくするような話し方をすることができる。
(『アスペルガー症候群と学習障害』榊原洋一著、講談社+α新書より)
この項目について、どうしたらできるのかわからないし、生活や大人になっていく過程で、なぜ自然に身についていくのか理解不能です。(少なくとも、私は理解できません。)
定型発達の人からすると、こんな普通のこともわからないのと言いたくなるかもしれません。こういうことが理解できない、わからないということがわからない。そういうほころびから色々な問題が起きてくるのだろうなと感じます。
4つのコミュニケーションの障害
さらに細かく、言葉を使った障害について紹介していきたいと思います。
【A 話し言葉を使う際の障害】
高機能群の人たちは、一見、正しい文法を使い、豊富な語彙で知的に話しているように見えることが多いのではないでしょうか。しかし、相手の意図を汲んで話すことができないため、その場にそぐわない話し方をしてしまいます。
いわゆるTPO-時間、場所、場面ーによる使い分けができません。その場の雰囲気やニュアンスを理解することができないからです。ニュアンスとは、言葉の微妙な意味合いや、言葉の外側にある意味のようなものです。このような雰囲気やニュアンスは目に映るものではありませんので、ますます理解が不可能です。
【B 話し言葉を理解する際の障害】
他人の言葉を理解する上で最も大きな障害は、言葉を文字通りに受け取ってしまうということです。「比喩的表現」や「社交辞令」、「暗黙のルール」と言われるものです。先ほども書いた、ニュアンスが理解できない故の障害です。言外の意味。これが厄介ですね。
【C 口調と音量調節の障害】
感情の抑揚のないしゃべり方をすることが多いのですが、逆に静かにしなければならないところで大きな声でしゃべってしまうことがあります。家族で団らんしている時の話し方と、病院の待合室でしている話し方が一緒になってしまうようなものです。その場、もしくは相手によって話し方を変えるということができません。
【D 非言語的コミュニケーションの障害】
社会性の障害で詳しく書きました。
身振り、手振り、表情、視線、物理的対人距離のような、非言語的なソーシャルスキルが苦手です。定型発達の人は、このコミュニケーションを特に意識することなく、自然に使って、意思疎通を図っているみたいです。非言語的意味のような、曖昧で目に見えない存在は想像すらできません。想像さえできないものは、身に付けたり、覚えたりすることは無理です。
(『発達障害かもしれない 見た目は普通の、ちょっと変わった子』磯部潮著、光文社新書)
一見会話が成り立っていて、スムーズに発語しているのになんだか違和感がある。それは、上記の4つの理由が原因だと思います。
会話の技術を磨いてみよう!
というわけで、コミュニケーションの障害、解決編です。
これに関しても、追々書いていこうと思います。
2.言葉を使う、パターンを増やしていこう
3.相手の言葉を汲み取ってみよう
最後に…
3歳児の子供に大人である私が突然「今の日本社会はね~」なんて話をしても、理解されないと思います。これは、日本がどいういうものか、経済はどういうものかという知識と、それに対する想像力がないと理解できないからです。3歳児の子供には、たぶんありませんね。
これと同じで、発達障害から見ると、定型発達の人たちがいる世界は、理解もできなければ、想像もできません。
大人が3歳児の子供の目線に降りてきて話をするように、定型発達の人たちが発達障害の方に降りてきて話をしてもらえると、大変、誠に、ものすごく、ありがたいです。
話し合いができない、とか、気持ちを察してくれない、など。そういうふうに腹を立ててくれるのは、対等に見てくれているからだと感じます。こちらばかり、出来ないことを押し付けられたって、察してくれないくせに!という憤りもあると思います。
伝えられないし、汲み取れない。厄介ですね、まったく。
ちょっと熱くなってしまいましたが、私なりに解決方法を考えてみたいと思います。